幽霊星雲
VdB 152
2012.10.31
 「ほこりまみれのカーテン」あるいは「幽霊」と言われるVdB 152はその光は実際にはかすかな光である。
 ケフェウス座の方角約1400光年離れたところにVdB 152星雲が白い光を放っている。星雲の下に伸びる灰色の物体は「ボーク・グロビュール」。ちりとガスが濃密に集まる領域で,ほぼ不透明に見える。
 大きな分子雲の端で,背景からの星からの宇宙塵のポケットの部分,あるいは星雲の部分に特有の青い色をあて,星雲が光っている。.星からの紫外線は,星雲にかすかな赤みがかったルミネセンスを引き起こす。.
 幽霊のようにぼんやりとしたVdB 152の右側には,細く赤い線が漂っている。これは,超新星の残骸で,星雲と衝突する可能性がある。
Image courtesy T.A. Rector and H. Schweiker, University of Alaska/WIYN/NOAO/NSF
ボーク・グロビュール
 ボーク・グロビュール(Bok globule)は,しばしば星形成が起きるような,ガスや塵が高濃度に密集した宇宙の領域である。HII領域の中に見られ,直径1光年程度の中に太陽質量の2〜50倍の質量を持つ。分子状の水素,一酸化炭素,ヘリウムや1%程度のケイ素の塵が含まれる。一般に,ボーク・グロビュールからは2つ以上の恒星系が作られる。
 ボーク・グロビュールは,1940年代にバルト・ボークによって初めて観測された。1947年に出版された論文で,ボークとE.F. Reillyは,これらの雲は,重力崩壊を経て恒星や星団ができるまでの昆虫の繭のようなものだという仮説を立てた。濃い雲が可視光を遮ってしまうため内部の観測が難しく,この仮説の証明は困難だった。
 1990年に発表された近赤外線を使った観測で,ボーク・グロビュールの中で恒星が生まれていることが確かめられた。さらにその後の観測で,いくつかのボーク・グロビュールの中には熱源があることが明らかになった。また,ハービッグ・ハロー天体や,分子ガスを噴出しているものも見つかった。ミリ波の輝線スペクトルの観測により,原始星の方へ周囲から物質が落ち込んでいる証拠も掴むことができた。
 ボーク・グロビュールは現在でも盛んに研究が行われている。8ケルビン程度と,宇宙で最も冷たいものの1つとして知られ,構造や密度については謎に包まれている。(ウィッキーペディアより)
NASA