活発なブラックホールを抱える M106
 2013.02.05
 一見するとごく普通の渦巻銀河のように見えるが,M 106は他の銀河とは異なり多くの謎を秘めている。天文写真家ロバートとジェイが撮影したデータを合わせることにより,これまで判らなかった謎の解明を行うことができた。
 多くの渦巻銀河は中心部に巨大なブラックホールが存在する。M106は特に中心部が活発である。他の渦巻銀河の中心にあるブラックホールは時おりしかガスの渦を引き寄せないが,M106のブラックホールは絶えず物質を引き寄せ続けている。
 ブラックホールに向かって引き寄せられているガスの渦によって,M106は熱せられ,強力な放射線を放出している。M106の中心部が生成している放射線は,レーザーに似ている。ただし,M106は明るく光るマイクロ波による放射線によるものなのである。
 中心部からマイクロ波が放出されているという特徴の他にも,M106は他の銀河にはない特徴を持っている。他の渦巻銀河は2本の渦を持っているのに対してM106の4本の渦を持っているように見える。他の渦巻銀河にはないもう2本の渦は,このイメージでは明るい可視の光を放つもののように見えるが,実際には可視の波長領域の外側にある波長によってしか見えない。そのため,このイメージでは追加の2本目の渦はX線や電波として捉えられたものを可視化している。
 他の普通の渦は,星々で構成されているのと対照的に,M106の追加の2本の渦は,熱いガスで作られている。そしてこの起源が何であるかは今までは謎であった。天文学者は,この追加の2本の渦は,M106の中心部のブラックホールによって形成された銀河の中心部からのマイクロ波照射のようなものではないかと考えている。
 ロバートはHubbleが撮影したM106のイメージアーカイブからこの銀河の中心部のモザイクを再構成した。ロバートは,その後,自分が再構成した映像と友人のジェイが撮影したM106の映像をHubbleの映像と合成することによって,Hubbleではカバーしきれていなかった領域をカバーし,最終的にHubbleのデータがまったく存在していなかった領域を埋めることに成功した。
 この映像に写っている銀河の中心部は,掃天観測用高性能カメラ,ワイドな組立カメラ3およびワイドなフィールド平床式カメラ2検知器によって撮影されたもの。外側の渦の腕はHSTのデータに加えて,ロバートとジェイが自分の所有している12..5インチと20インチ天文望遠鏡を使ってニューメキシコから撮影したデータを使って色づけされた。
ハッブルサイト