かみのけ座の銀河団
2008_06_10
 かみのけ座銀河団は約3億光年の距離にあり,かみのけ座に位置する。ここは天の川からもっとも離れていて、われわれの銀河自体の星間物質に邪魔されずに遠くを見通せる方向である。
 ここには何千個もの銀河が,直径2000万光年以上の球形に集まっている。HSTは,中心から3分の1ほど離れた,数百万光年の領域を撮影した。
 われわれ天の川銀河のような渦巻銀河は銀河団の周縁部にいくつか見られるものの,中心部にあるのはほとんどが楕円銀河である。楕円銀河は,銀河どうしの衝突で形成されると考えられるが,渦巻銀河に比べると年老いた恒星が多く新たな恒星の誕生が少ないことが特徴である。天の川銀河も,30億年後にはアンドロメダ座大銀河(M31)と衝突し,やがて1個の楕円銀河へ姿を変えてゆくと推測されている。
 このほかに,かみのけ座銀河団には多数の矮小銀河も確認されている。HSTがとらえた領域中,渦巻銀河だと確認できるのは左側の青白い銀河だけで,残りは楕円銀河か矮小銀河,またはかみのけ座銀河団のさらに向こうに位置する銀河だ。
 かみのけ座銀河団が3億光年も離れていると言っても,これは銀河団としては「われわれの近傍」に類する。こうした近傍銀河団を一斉に観測することは,銀河の形成と進化を研究し,さらに周辺環境や年代の異なる銀河を比較する上で役立つと考えられている。
Hubble