超新星残骸
2006_07_31
 このイメージは,2003年にACS(掃天観測用高性能カメラ)が4波長で撮影した画像と,WFPC2(広視野/惑星カメラ2)が1波長で撮影した画像を合成したものである。中央に写っている青い天体が小マゼラン雲の中にある超新星残骸,1E0102.2-7219(E0102)である。小マゼラン雲は天の川銀河の伴銀河で,きょしちょう座の方向21万光年の距離にある。
 E0102の位置で星の死,すなわち超新星爆発が起きたのは,およそ2000年前と考えられる。まだガスは広がり始めたばかりである。
 一方,画像の右上に広がる赤紫色の星雲は大規模な星形成領域,N 76である。E0102からN 76の端までの距離は50光年。わずかな距離をへだてて,星の生と死が存在している。N 76の中ではかつてE0102に存在したような巨大な星が誕生しているのかもしれない。もしそうだとすれば,数百万年後にはこちら側で超新星爆発が起きるとかんがえられる。
Hubble
超新星残骸
 質量の大きい星の一生の最期を飾る超新星爆発。その後に残る天体が超新星残骸である。これは超新星爆発の膨大なエネルギーが周辺の星間ガスに衝撃波を与え光を放つ。衝撃波はほぼ球殻状に広がるので球対称な形状が見られることが多いが,中には網状や非常に複雑な構造を示すものもある。次第に膨張しているため,年齢が古いものほど大きな構造として観測される。(宇宙情報センター)