この写真は,NASAのハッブル宇宙望遠鏡を使って撮影されたものである。中央に見えるのはNGC 4319という渦巻き銀河で,地球からおよそ8000万光年離れている。一方,右上に見えるのはMrk(マルカリアン)
205というクエーサーで,距離は約10億光年だ。ともにりゅう座の方向にあって、たまたまハッブル宇宙望遠鏡の同一視野内に見えている。
NGC 4319の中心の腕の部分には暗くて歪んだダストの溝が見えるが,これはかつてNGC 4291という(本当に)側にある銀河と相互作用を起こした結果だと考えられている。
また,Mrk 205の10億年という距離は,クエーサーとしては比較的近いものである。クエーサーの中心には巨大なブラックホールがあると考えられており,そこにガスが流れ込むことによって非常に明るく輝いて見える。また,ハッブル宇宙望遠鏡のような強力な望遠鏡を使えば,クエーサーの周りに光るハロも捉えることができる。Mrk
205のすぐ左下には伴銀河が見えていて,ハロの構造に影響を与えている。
NGC 4319 とMrk 205は実際には遠く離れた銀河とクエーサーで,お互いの間に大きな相互作用はない。しかし,それぞれのすぐ側にある銀河とは強い相互作用をして構造に影響を受けている。銀河の形成や進化を研究する上で銀河の相互作用を調べるのは重要なことだが,この写真にはそういう銀河(クエーサー)が2つ写っているのである。(AstroArtsより) |
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