NASA の HST(ハッブル宇宙望遠鏡)が撮影した,近傍銀河中の星形成領域の写真が公開された。
地球から 160 万光年離れたいて座の方向の銀河 NGC 6822 にあるハッブル V という直径 200 光年の領域の写真には,激しい星の誕生の現場が写っていた。こういった星の形成は初期の宇宙ではもっと多く起こっていたのかもしれない。
HST の高い分解能と紫外線に対する感度の良さのおかげで,星雲の中にある超高温の星が数十個集まっているのが見つかった。地上の望遠鏡では,遠すぎる上に密集しすぎていて分解することができなかった。これらの星は太陽の
20 倍以上重たく,10 万倍も明るく輝いている。こういった高温の若い星から放射される紫外線を HST がとらえたと考えられる。また,HST
の観測から星の年齢も見積もることができ, 400 万年前に一斉に誕生したらしいことがわかった。
大質量の星の内部は非常に高温になっており,水素やヘリウムといった原始的な元素から核融合反応によって大量の重元素を効率よく生み出す。つまり,大質量星は,酸素や炭素など生命を構成するための元素などを生み出すのに大きな役割を果たしている。これら大質量の星は
1000 万年ほどでその一生を終えてしまう(太陽よりも 1000 倍も早い)。そして,一生を終える時に,核融合で作り出した物質のほとんどを超新星爆発やゆっくりとした質量放出によって宇宙空間へとばらまく。こういう星によって生み出されまき散らされたた重元素が惑星や生命の源になっていると考えられる。(AstroArtsより) |
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