ハッブル宇宙望遠鏡により撮影されたオリオン座のNGC 1999星雲の画像が公開された。この星雲は自らは輝いておらず,近くの恒星に照らされることによって輝いている。この星雲のすぐ隣でハービッグ・ハロー(Herbig-Haro)天体(形成期の若い星からのガス・ジェット)が初めて発見されたため,この星雲は天文学史上では有名な存在である。そのハービッグ・ハロー天体は,今回の画像のすぐ外に位置している。
画像中央やや左に見える恒星がNGC 1999を照らし出している。この恒星は白く輝いているが,これは約1万度という高い表面温度のためである。これは,我々の太陽の表面温度の倍に近い。この恒星は非常に若いため,形成時に残された物質の雲によって取り巻かれており,これがNGC
1999として輝いている。
この画像中央付近に暗黒雲があるが,これは「ボク小球(Bok globule)」と呼ばれるものの1つである。アリゾナ大学の天文学者Bart Bok氏の名にちなんでそう呼ばれている。これは,ガスや分子やチリから成る低温雲で,濃厚なため光を通さない。天文学者は,新しい星はボク小球の中で誕生すると信じている。
この画像は1999年12月,修理後のハッブル望遠鏡の広視野/惑星カメラ2(Wide Field Planetary Camera 2, WFPC2)による撮影。(AstroArtsより) |
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