ハービッグ・ハロー 32
 1999.10.07
 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した美しい画像をまとめて後世に残そうという ハッブル・ヘリテージプロジェクトが満1周年を迎えたのを受けて,これまでに撮影された4枚の星雲の画像が選定され,公開された。
 ハービッグ・ハロー天体(HH天体)とは新しく生まれた恒星に付随する星雲状の小領域で,若い星から放出されたガスが数百km/sの速度で周辺のガスや塵の雲と衝突して作られるものである。
 ハービッグ・ハロー天体は星形成領域にはしばしば見られる天体で,一つの恒星の自転軸に沿って複数個が存在する場合も多い。
 ハービッグ・ハロー天体の実体は一時的な現象で,長くても数千年しか持続しない。HH 天体はガスの放出元である親星から星間空間のガス雲(星間物質)に向かって高速で移動するに従い,数年単位という短期間で見た目の形状が変化する場合がある。ハッブル宇宙望遠鏡を用いた数年にわたる観測で,HH 天体のガスが星間物質の密度の高い領域と衝突することで,HH 天体の一部が暗くなる一方で別の場所が明るくなる,といった複雑な変化が起こる過程が明らかになっている。
 この種の天体は19世紀にシャーバーン・バーナムによって最初に観測されていたが,輝線星雲の中で独立した一種として識別されるようになったのは1940年代になってからであった。この天体を詳細に研究した最初の天文学者はアメリカのジョージ・ハービッグとメキシコのギイェルモ・アロで,彼らの名前にちなんで天体の名称が付けられている。ハービッグとアロは星形成の研究の過程で HH 天体の分析を独立に行い、HH 天体が星形成過程の副産物であることを明らかにした。(ウィキーペディアより)
Hubble