極軌道リング」を持つ銀河
 1999.05.06
 「極軌道リング」を持つ銀河NGC4650Aは,地球から1億3000万の光年離れた場所に位置している。このような極軌道リングを持つ銀河は今までにわずか100個くらいしか見つかっていない珍しい銀河である。どのようにしてこのような形になったのか。まだはっきりとした結論が出ていないが,今から10億年前に起こった二つの銀河間の巨大な衝突の残り物である可能性が高い。宇宙が密集している場所では,銀河どうしが衝突するのは決して珍しい現象ではない。近隣との銀河との間隔が小さく,特に銀河団中心の密集地域では,比較的頻繁に衝突現象が起きている。衝突によりそれぞれの銀河の形や性質が大きく変化するし,時には銀河同士が合体する場合もある。私たちの銀河系と,230万光年離れている隣のアンドロメダ銀河(M31)は時速50万kmという速さで近づきつつあり,遠い未来には銀河系同士の接近が起こると考えられる。この画像での場合,二つの銀河の接近で恐らく小さい方の銀河が破壊されたと考えられる。そして,衝突の時,小さい方の銀河からガスが剥ぎ取られて大きい方の銀河に取り込まれ,塵とガスでできたリングが形成されたと考えられている。
 このようにして出来たリングは,銀河内部を古い円盤のほぼ直角の軌道(極軌道)で回り始めた。この銀河の中心から離れたところに青色の塊があるが,これは明るく輝く若い星があることを示している。これは衝突という銀河の大破壊によるガスと塵の中で,新たに生れてきた星と考えられる。
Hubble