陸前高田は比較的広い平野の上にある。浜辺には防潮堤がない。千本松が,台風の高波などから守る,防波林の役割をはたしてきたのだろう。街に高台がない。高田市の公民館や体育館など公共施設が避難所になっていた。そこに建物を超える津波が押し寄せてきた。
 高田市の体育館を津波の災害を後世に伝えるオブジェにすべきかどうかで論議されている。そのため,建物の中のがれきがまだ片付いていない。捜査終了の文字が目立つ。1年と5月もたったのに部屋の中はそのままの状態であった。

 街全体はがれきの処理が行われ,そのほとんどが片付き,広い野原となっている。タクシーに乗っていたとき,突然,何もないのに「この先踏切があるので注意してください」というアナウンスがはいった。夜は真っ暗だろう。その中でこんな声が聞こえたら・・・。
 祭壇は今も線香の煙が絶えない(市役所)
13mの津波に襲われたアパート 体育館から一本松の方を眺める
 
陸前高田の公共施設
 
市民会館
 
市役所
消防署
 
市民図書館
 
中央公民館
 
市民体育館
 
一本松
 防波林としての針葉樹は根がはらず倒れやすい。浜にあった千本松は,この木を残して全部流されてしまった。この木の東側に枝のない松が一本立っているので,正式には二本松というほうがいいのか。潮水につかったのでこの木はかれて,やがてかれる運命である。その保存方法を検討しているらしい。

 東北地方の海岸をおそった津波。2012.07.18日時点で,その高さが,皮肉にもわかる。潮水につかった針葉樹がことごとく枯れ始めているのである。スギなどが枯れているところあったら,「あの高さまで津波が来たのだ」と考えたらまずまちがいない。
 防波林として,針葉樹はむかない。潮水に弱く,根が張らないからである。広葉樹を植えることで防波林にすべきである。